2023年に読んだ本は84冊。
例年3ケタはキープし続けてきただけに、なんだか残念というよりほかにない。
2017年155→2018年146→2019年161→2020年146→2021年146→2022年110。
生活スタイルが変わったのか?
スマホいじりの時間が増えたのか?
いずれにしても2024年は、再び3ケタに乗るようにしなければいけないと痛感している。
2023年の読書メーター
読んだ本の数:84
読んだページ数:22418
ナイス数:1256
強打者 (ワニブックスPLUS新書)の感想
前作に続いて読んでみた。江夏が選ぶ強打者たち。実際に対戦したことのある打者たちは、エピソードに加えて対戦成績も収載。王、長嶋をはじめとする打者たちは、本塁打数も多いが三振数も多く、真っ向勝負を挑んでいたことがうかがわれる。目上の人はさん付け、年下の人は君付けでの記載だが、全体的に批判的な見方はなく非常にフェアな印象。見た目にそぐわず酒は飲まないという江夏こそ、実は野球が好きで好きでたまらないんだろうと思う。
読了日:01月12日 著者:江夏 豊
たぬきが見ていたの感想
PUFFYの亜美が小説すばるで連載していたエッセイのまとめ本。思えばデビューした時から知っていて、ときにはドはまりしてLIVEにも足しげく通っていたこともあったが、ワタクシが50になったのと同じように、彼女たちもそんな年になったのだなあ。本エッセイでは、娘さんとのふれあいや子育てなど、とてもほっこりする内容が満載。やっぱりデビュー当時から変わらないユルさがたまらない。それでいて、子育てをはじめとして、実は一本筋が通っていることを知ったりして、あらためてファン(時代ごとに濃淡あるが)でよかったなあと思えた。
読了日:01月16日 著者:大貫 亜美
もう時効だから、すべて話そうか 重大事件ここだけの話 (小学館文庫 い 48-1)の感想
事件系ノンフィクションライターの一橋文哉氏が、自身がかかわった数々の事件を振り返るというもの。前半はオウムにグリコ森永、三億円事件など、興味深く読めたものの、中盤以降は残忍な事件ばかりが続き、読んでいてなかなか辛いものがあった。「事項だから話す」というほどのネタではなかったかも、全体的に。
読了日:01月18日 著者:一橋 文哉
Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔の感想
台湾のデジタル大臣、オードリー・タン氏の半生に密着。幼少期からとてつもなく高いIQで周囲を驚かされ続けた天才は、なんと中卒でITの最先端の世界に身を投じる。そして女性として生きることを決めたりと、若くして閣僚になったりと、その生き方と行動はすばらしすぎる。圧倒的な行動力を持ちながら、常に対話と思いやりを重んじ、怒りを見せることもない優しき心の持ち主であることも、大きな賛同と共感を得る理由だろう。巻末には特別付録として台湾がいかにコロナを乗り切ったかのレポートも収載されていて、大変勉強になった。
読了日:01月23日 著者:アイリス チュウ,鄭 仲嵐
ドラゴン・ティアーズ――龍涙 池袋ウエストゲートパークIX (文春文庫)の感想
相変わらず面白すぎるIWGPシリーズ。ついに9作めを手にした。本作でも、マコトの活躍ぶりはますます冴えわたるばかりであるが、執筆時の世相がしっかりと映し出されていて、そのあたりも本シリーズの面白さの一つとなっている。美容系のキャッチ、非正規労働者(ホームレス)、出会い系に海外からの低賃金労働者問題と、なかなかバリエーション豊富だ。それらの要素を、見事なまでにストーリーにからめており、エンターテインメント作品として高い完成度を実現している。
読了日:02月06日 著者:石田 衣良
キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 (文春文庫)の感想
池袋の「キング」ことタカシが、どのようにして現在の姿であるキングになったのか。その時代へと舞い戻り、若き日のタカシとマコトの独特な友情をベースに物語がつづられる。一夜にして家族を二人も失うという大きく深い悲しみは、冷徹非情なキングを生み出したということなのか?地元を心から愛するヤツらの、温かくも切ないストーリー。
読了日:02月06日 著者:石田 衣良
人志とたけし: 芸能にとって「笑い」とはなにかの感想
以前より読みたかった本なんだが、筆者の視点?見方?が自分にはまるで合わず、面白く読むことはできなかった。ただ、マキタスポーツさんはじめとする対談については、著者以外の人の言葉に読みどころがある。最後の対談では女性芸人論なども出てきて、このあたりは本題とは外れているものの、最後の最後で読みどころがあった感じ。
読了日:02月08日 著者:杉田 俊介
海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)の感想
もっと早く読むべきだった!それほどまでに面白い。限りなくフィクションに近い作品で描かれるのは、出光興産を興した男の物語。とにかく実直で行動力があり、まさに日本男子たるもの、こうあるべきだと思うばかり。その社員(店員)の誰もが、苦しい中でも生き生きと働きまくる姿には、何度胸を熱くしたことか。戦争という時代に振り回されながらも、なおも前を向き続ける石岡の姿に、大きな勇気をもらったことはいうまでもない。ページ数が上巻だけで400を超える大作だが、下巻も思い切り満喫したい。
読了日:02月22日 著者:百田 尚樹
窓ぎわのトットちゃん (講談社文庫)の感想
初版1984年。小学生高学年か中学生のころに、手にした記憶があるが。。。50になった今、再び手にすると、トモエ学園が現在私が暮らすエリアでのことであり、自由が丘やら九品仏、等々力といった地名が出てきて感慨深かった。昔読んだとはいえ、内容は記憶していなかっただけに新鮮。これまた小学生の子供を持つ身には、トモエ学園の教育スタイルが実に共感できることばかり。戦況厳しくなるシーンも描かれているが、そのあたりも子供目線で書かれているのでとても読みやすかった。子供にも、ぜひ読んでほしい良書だと感じた。
読了日:02月22日 著者:黒柳 徹子
走って、悩んで、見つけたこと。の感想
大迫選手のトップになるためのストイックなまでの思考には、ただただ驚くばかり。しかもそれを、中学生のころから実践してきたのだというから、やはり成功する人というのは違うんだな。本書の巻末には、読者の質問に答えるコーナーがあったが、そこでもまったく思考がブレることはない。なかなか自分には真似できない生き方だと思った。
読了日:03月09日 著者:大迫 傑
江夏の21球 (角川新書)の感想
表題作を含む山際さんの名作を新書に再集録。もう何度読んだかわからない「江夏の21球」だが、臨場感あふれる描写はスポーツノンフィクションの金字塔として、今なお色あせることはない。社会人野球、あるいは高校野球など、ときに裏方にも光を当て、なおかつ読ませる山際さんの作品は、スポーツの楽しさと魅力を再発見させてくれる。山際さんが、今やっているWBCを見たら、どんな風に描いたんだろうか。
読了日:03月12日 著者:山際 淳司
成熟スイッチ (講談社現代新書)の感想
話題になっている林真理子さんの新書。テーマは「成熟」。今回は特に感じたのだが、本人もおそらく自覚しているように、とにかく丸くなっていることがうかがえる。足し算の人生から、引き算の人生に差し掛かった年齢にあって、日大の理事長に就任するなど、まだまだ大活躍中の著者。気を張り詰めて生きている人なら、ほんの少し楽になれるかも、、というような一冊でした。
読了日:03月12日 著者:林 真理子
選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論 (講談社文庫)の感想
デヴィ夫人の半生記、、というか、女性向けの指南書(汗)。貧乏だった幼少期、そして高校に行かずに社会へ。さらにスカルノとの出会いから、圧倒的な成功を手にするあたりへのくだりは、初めて知ったことも多かった。スカルノ失脚後、自身の力で成功したようだが、そのあたりはもう少し詳しく知りたかった。ただ、美貌と愛嬌、知性をもって、大統領夫人という地位を得たような日本人は皆無なわけで、女性にとっては参考になる言葉が多いのかもしれないなとも思った。
読了日:03月18日 著者:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ
死ぬこと以外かすり傷の感想
仕事で完全に心が折れそうだったので、積ん読本から引っ張り出した次第。暴言等からスローダウンした感はあるが、これは絶好調のときに書かれた本。仕事に対する取り組み方について、すごいの一言。心が折れそうな毎日を過ごしているなかで、自分の心のベクトルが上向きになったことは間違いない事実。行動が伴っているから、言葉に説得力がある。
読了日:03月18日 著者:箕輪 厚介
海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)の感想
海洋プラスチック問題が取りざたされているが、それをわかりやすく整理した一冊。マイクロプラスチック・・・もはや発生させることは不可能なんじゃないだろうか。ゴミを拾う、プラスチック製品を使わない、いったい何が正しいのかをあらためて考えさせられる一冊。ただ、結局私たちは今の生活の中で、いま何をすべきなんだろうか。。。
読了日:03月31日 著者:保坂 直紀
部長って何だ! (講談社現代新書)の感想
小さな会社ながらも、自分自身も部長になって早2年。超多忙な毎日の中で手に取ってみた。著者の半生記でもあるわけだが、スパルタンな昭和的な行動・考えは、現代にはそぐわないながらも、もろ昭和人間のワタシにはとにかく納得できることばかり。がむしゃらに働いてこそ・・・なんだよな。50代を迎えた今というタイミングで、なんとなく背中を押されるような、元気になる一冊でした。
読了日:03月31日 著者:丹羽 宇一郎
弱い男 (星海社新書)の感想
一気読み。数々の野村本を読んできたが、この一冊だけは他とはまったく趣旨を異にする。ノムさんの最晩年にインタビューしたテーマは「弱い男」。愛するサッチーを失ったノムさんの口からは、とにかく弱弱しく、ネガティブな発言しか出てこない。。。ボヤキでもなんでもないノムさんの「弱さ」に、どこか寂しいものを感じた。天国でサッチーと楽しく生活していることを心より祈念します。
読了日:03月31日 著者:野村 克也
秋篠宮家と小室家 (文春新書 1350)の感想
文春がこれまでに取り上げてきた「秋篠宮家と小室家」の騒動を総括。キーマンとなる眞子さまについて、その生い立ちから性格に至るまで、非常に興味深く読めた次第。それにしても出会った男が悪すぎた・・・。そして驚いたのは、眞子さまの母である紀子さまと、小室の母が丙午生まれの同い年であるという事実。これは知らなかった。何か運命的なものを感じずにはいられない。
読了日:04月05日 著者:文藝春秋編
世界ヤバすぎ! 危険地帯の歩き方 (わたしの旅ブックス)の感想
「クレイジージャーニー」で有名なゴンザレス丸山氏の著作。以前読んだ記憶がある新書のほうは、なかなかにヘビーな内容だったが、こちらはどちらかというと、丸山氏がどのように旅にひかれていったか、取材中のこぼれ話なんかも多く、軽い感じで一気に読み進めていくことができた。丸山氏が言うところの「危険地帯の歩き方」は、われわれ一般人にも応用できそうなことも多く、知っておいて損のない話もたくさんあった。
読了日:04月07日 著者:丸山ゴンザレス
サンドウィッチマンの俺等に聞くの!?の感想
サンドウィッチマンが、赤ちゃん子育て雑誌で、まさかのお悩み相談室を連載。それをまとめたものなのだが、まあユルい感じで、面白すぎ。ちょいちょいエロ方面に流れたりもするものの、やはりそこはお二方ともお子様がいるだけに、的確で愛のある答えが心地よい。
読了日:04月08日 著者:サンドウィッチマン
SHOE LIFE(シューライフ) 「400億円」のスニーカーショップを作った男の感想
一気読み。とにかく熱かった日々の思い出がよみがえってくる!アトモスを400億円で売却した創業者の半世紀。フリーマーケットからスタートし、独自のアイデアで日本にスニーカーブームや裏原宿文化を生み出した歴史は、もうとにかくスゴイの一言。その半生とは、スニーカー文化の歴史そのものだけに、同じ時代をスニーカーに魅せられてきた一人としては、興奮とまらない歴史絵巻物とも思えた。これからのビジネス展開、そしてひと段落した感もある直近のスニーカーブームの行く末も含めて、氏の今後の取り組みにも注目したい。
読了日:04月10日 著者:本明 秀文,小池 裕貴
9月1日 母からのバトンの感想
内容を知らずに手にした一冊だったのだが、「9月1日」というワードについて、これまで全然意識したことがなかった。子供の自殺が一番多い日・・・2学期の始まり、というデータは、なんともうすら寒い思いがする。本書は、母である樹木希林さんのライフワーク的なところを、娘がおっていくというもの。さまざまな人たちとの対話から、樹木希林さんが考えていたことや行動が、時を超えて理解が進んでいくというのは感動的ですらある。不登校、引きこもり、いじめ。。。決して他人事ではない。そんな子供たちを守ることが社会には求められている。
読了日:04月18日 著者:樹木 希林,内田 也哉子
赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝 (文春文庫 い 47-7)の感想
久しぶりのIWGPシリーズは、スピンオフ作品。ギャンブルにおぼれ、ギャンブルで起死回生の一発を狙う男の格闘が、IWGPのメインキャラであるサルをイイ感じでかませて、ストーリーとして展開されていく。臨場感あふれる記述は、石田さんならでは。IWGPの世界観を見事に反映した作品であった。
読了日:04月18日 著者:石田 衣良
スマホ脳 (新潮新書)の感想
かなり話題になっていた本だが、ようやく手にした。その内容は、ぞっとするくらい。スマホ依存によるさまざまな影響について、事例が提示されているが、自分に当てはまることが多すぎて、怖くなってしまうくらい。気を付けないとヤバイな。。。スティーブ・ジョブスが自分の子供にiPadを使わせていないといった事実は、その恐ろしさをしっているからにほかならないということだろう。
読了日:04月21日 著者:アンデシュ・ハンセン
1999年の松坂大輔 歴史を刻んだ男たちの感想
表題作を含む野球ノンフィクションが4作品。デビュー年の松坂をクローズアップした一作も面白かったが、何よりよかったのは現オリックス監督の中嶋さんをヒューチャーした「幸せなキャッチャー」だ。現役当時に取材されて原稿化された作品なのだが、これを読むと今の日本一監督にまで上り詰めた事実がなんとも感慨深い。山田久志の薫陶を受け、さらにはダルビッシュ、そして大谷の球まで現役で受け続けたキャッチャーは、たしかに幸運。関わったピッチャーたちのコメントの数々が、とても興味深かった。他2作もGOOD。
読了日:04月21日 著者:長谷川 晶一
東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)の感想
私の世代にとっては完全にラブホテル街のイメージしかない、渋谷・丸山町。その今昔物語といった感のあるルポタージュ。時代時代を、その時代を知る人に取材していくスタイルである。しかし何より、あの東電OL事件もここを舞台に起きたんだなあ・・・。現代社会の深い闇ともいうべきじけんだったが、久しぶりに詳細に触れ、その真相はいかにといった感を持った。著者は他の街でもこのようなシリーズを展開しているようなので、機会があれば読んでみたい。
読了日:04月27日 著者:本橋 信宏
時事漫才 爆笑問題の日本原論の感想
爆問の原論シリーズは愛読していたが、とんと単行本が出なくなって久し。その間も媒体は変われど、連載は続いていた模様。本書には2015-2018年の連載が収載されている。太田の妙な食いつきや、田中の絶妙な突っ込みは健在。時代を振り返るにあたって、ふたりの掛け合いは最高の教科書となることは間違いない。このスタイルは、やはり爆笑問題の王道であり、それを味わうことのできる貴重な一冊であることは間違いない。
読了日:05月07日 著者:爆笑問題
日本依存から脱却できない韓国 (新潮新書)の感想
いやあ・・・韓国すごいな。言ってることとやってることとが違いすぎる。で、結局日本とは互いに依存していると。読了のタイミングで、まさに日韓首脳会談が行われていた。隣国なんだから、もっと仲良くすればいいことずくめなんじゃないかなと思えた。
読了日:05月10日 著者:佐々木 和義
きりこについて (角川文庫)の感想
素晴らしい!まさに一気読みしてしまったが、西加奈子ワールド全開!破天荒で、どこまでも優しい登場人物たち。読むだけで元気になれるし、読むだけで心穏やかになる。主人公のきりこ、そしてラムセス2世、さらに、りせちゃんをはじめとする面々。その誰もが再びつながる物語は、西加奈子さんの作品の王道か。ストーリーに触れることはあえて避けるが、きりこの両親の我が子を思う「愛」には、大いに共感する部分があった。へとへとな毎日を過ごすワタクシにとって、西加奈子作品は、なにものにも代えがたいエネルギー飲料なのだと痛感。
読了日:05月10日 著者:西 加奈子
2023プロ野球写真&データ選手名鑑 (NSK MOOK)の感想
今年も数ある年間の中からコイツをチョイス。圧倒的なデータ量は非常に勉強になること請け合い。で、どうでもいいエピソードも満載なのも、毎年楽しませていただいている。
読了日:05月10日 著者:スラッガー
経験 この10年くらいのことの感想
アマゾンのウィッシュリストには前々から入っていたんだが、ようやく購入→精読。くりいむ上田の日々をゆるゆるとつづったエッセイ集。子供との絡みが面白かった。上田さんの子供のように、ワタクシの子供もクラスで一番面白い女子を目指してほしいばかり(笑)
読了日:05月31日 著者:上田晋也
辛酸なめ子の独断! 流行大全 (中公新書ラクレ 747)の感想
辛酸なめ子さんが斬る世相。2014年から2022年まで、2ページ1話完結で、すごく微妙なネタも含めて語っていくわけだが、いやあ時代を感じさせられるばかり。それにしてもこんなコロナだらけの世の中になってしまうとは、2014年の自分はつゆにも思っていなかったんだろうな。
読了日:05月31日 著者:辛酸 なめ子
日本進化論 (SB新書)の感想
久しぶりの落合陽一さん本。政治とテクノロジーを絡めた今後のキーワード、ポリテック。その構想はなかなか素晴らしいものではあるのだが、なかなか日本には根付きそうもない。若手論客の古市氏と比べると、全体的にはどこか穏やかな感も受ける論調。どうでもいいことだが、最近、落合陽一氏の父が、かの落合信彦氏であることを知り度肝を抜かれた。オチノブ読者ではあったが、まったくこれまで気づかなかった次第。
読了日:05月31日 著者:落合 陽一
PRIDE-プライド 池袋ウエストゲートパークX (文春文庫)の感想
定期的に読み進めているIWGPシリーズだが、気付えば10作目。すっかりファンになっている(汗)。本作でも時代を読み解いた舞台設定が秀逸。一番印象的だったのは、やはり表題作の「PRIDE」か。ただ、若者のホームレス化というテーマはさておき、レイプというハードなテーマはなかなかシビアなもので、だからこそ読み応えがあった。エンディングも悪くない。
読了日:05月31日 著者:石田 衣良
Sports Graphic Number1073号(競馬総力特集 90th 日本ダービー)の感想
NUMBER恒例のダービー特集。うっかり出てるのを失念していたものの、ダービー前日までに読了。おかげさまでダービーとれました!渡辺と和田の対談はよかったなあ。
読了日:05月31日 著者:
「名コーチ」は教えない プロ野球新時代の指導論 (集英社新書)の感想
現代プロ野球コーチ論。6人の「名コーチ」が登場するわけだが、いずれも自分はあくまでも裏方に徹してというスタンスが興味深い。「俺のときはこうやった」というのは、現代には全く合わないということ。プレーしている本人の意識をいかに変え、いかに自分が考えて行動したのかということを感じさせるかということ。複数の球団に壊れ続ける理由とは、そんなところにあるんだろう。吉井、橋上といったあたりの著述は、特に面白く読むことができた。
読了日:06月06日 著者:高橋 安幸
ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)の感想
ちょっと前に話題になった本。会社ではなく、個としての「ブランド人」を目指せというメッセージを、自身の例を踏まえて熱っぽく語り尽くす一冊。人生には遅すぎることはない・・・今すぐでも思い立ったが吉日ということなんだろう。
読了日:06月09日 著者:田端 信太郎
藝人春秋Diaryの感想
藝人春秋の最新刊をようやく読了。過去シリーズとは異なり、文春からの出版はかなわず小出版社からの刊行。そして度肝を抜く550ページ超の圧倒的なボリュームは、過去のシリーズ作と比較しても圧倒的な熱量を感じずにはいられない。それにしても、最終章の妻や殿との、まさかというべき邂逅とは、人生というもの、運命というものの意味を深く感じ入るばかりである。政治家はやっぱり似合わない。早く元気になって帰ってきてくれ!水道橋博士!俺はまだまだ藝人春秋という壮大な歴史物語を読みたいんだよ!
読了日:06月13日 著者:水道橋博士
誰かを幸せにするために 大人の流儀8の感想
久しぶりに伊集院さんの大人の流儀シリーズを手にする。出てくるエピソードやストーリーの起承転結も、これだけ読んでいるとすっかりパターン化して感じられることもあるわけだが、たまに読むとこれがまた実に味わい深い。男たるものかくあるべき──昨今のハラスメントやらなんやらで牙の抜けてしまった時代においては、やはり昭和の男の生き方のようなものは、自分にとってはしっくりくる。自分も50代になったわけだし、氏の文章や生き様に対して共感できる部分が多くなってきた気がしてやまない。
読了日:06月14日 著者:伊集院 静
小泉今日子はなぜいつも旬なのか (朝日新書)の感想
久しぶりに本棚から引っ張り出す。唯一無二の存在であるキョンキョン論。ちょうどあまちゃん終了からほどない時期に刊行されたせいか、最終章近くはあまちゃんのエピソードも多数で、フムフムとなった次第。それにしても本書ではキョンキョンが「マウントしない」からこそ、他のアイドルたちとはまったく異なる存在としてステップアップしたと断言しているのだが、その後、世間の声をものともせずに、堂々と新たなる恋&仕事に走ることになろうとは、よもや著者も思ってもみなかっただろう。同じ時代を生きる一人として、共感をもって読める一冊だ
読了日:06月15日 著者:助川幸逸郎
住宅破産 (MdN新書)の感想
35年ローンを組んでいる身としては、いろいろと勉強になることが多かった。自分自身の資産のバランスシートを作り、早急にチェックしなければ・・・。
読了日:06月23日 著者:千日 太郎
私のプロ野球80年史の感想
日本プロ野球の歴史を、ノムさんの半世紀と併せて紹介していくスタイルは、ありそうでなかったんじゃないだろうか。そういう意味では、ノムさん本としては新鮮。特にノムさんの幼少期あたりの話は、こんな時代から野球と接点があったんだ!と驚いた。
読了日:06月23日 著者:野村 克也
漫才論 - 僕が出会った素晴らしき芸人たち - (ヨシモトブックス)の感想
一気読み。昭和のニオイがプンプンする超ベテラン漫才師だけに、漫才への愛はとてつもなく深い。阪神さんとは、真逆の性格で、一緒に行動することもないほど仲が悪かったという話は、いかにも芸人らしいエピソード。テレビではなく、劇場=生にこだわるというところも、昭和っぽくていいなあ。ぜひ生で見て爆笑したいものです。
読了日:06月23日 著者:オール巨人
夢をかなえるゾウ2 文庫版の感想
1を読んでからずいぶん時間が経ったのだが、ようやく2を読んでみた。本書でもガネーシャが大暴れしているわけだが、そこはかとない愛情というか、優しさが満載。お金、幸せってなんだろうということを、少しだけ考えさせられた次第。
読了日:06月23日 著者:水野敬也
世界インフレの謎 (講談社現代新書)の感想
特異なインフレの状況にある日本の状況がよくわかった。読書というより、勉強というほうがふさわしい感じ。集中しないとなかなか頭に入ってこない&理解できない内容。
読了日:06月30日 著者:渡辺 努
フツーのプロレスラーだった僕がKOで大学非常勤講師になるまでの感想
本棚の整理の際に発見し、久しぶりに手にする。ひねくれ者のカシンの半生記は、やっぱりひねくれまくった人生。プロレスラーになる前の青森の光成学院時代の話が、今だったらありえない理不尽満載で、同年代としてはウンウンとうなずいてしまうことばかり。セミリタイア状態の今、カシンよ、どこへ向かう・・・。スニーカーマニア、しかも盗難されてしまったという話に大爆笑。
読了日:06月30日 著者:ケンドー・カシン
堤清二 罪と業 最後の「告白」 (文春文庫 こ 46-1)の感想
西武帝国を気づき、そして憎しみあった清二と義明の堤兄弟。本書では、清二への晩年のインタビューを通して、父や家族の事、そして仕事について振り返っていく。異母兄弟であるがゆえに、激しいライバル心を常に持ち合わせていた二人の生きざまはすさまじい。ただ、セゾンなどを通じて「文化」を作った清二は、ただの商売人ではないんだろう。義明の側から見た作品があれば、ぜひ読んでみたいと思う。巻末の解説は糸井重里氏。感謝にあふれる文章であった。
読了日:07月07日 著者:児玉 博
0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書の感想
落合陽一さんの本を最近読んだこともあって、積ん読から引っ張り出してきた一冊。自身も子育てをしているとのことだが、その落合さんが受けてきた教育環境も含めてなかなか独創的。画一的な教育ではないところから、天才は生まれるのだろう。子供のやりたいようにやらせておく。。。これがなかなかできないんだが、取り組んでいかないといけないことなんだなと、あらためて感じ入った。
読了日:07月11日 著者:落合 陽一
海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)の感想
いざ読み始めた下巻も一気読み。壮大な絵巻物が、ほぼノンフィクションであることに驚きを隠し得ない。日本人としての誇り、男が人生をかけて取り組むべきことは何か、そんなことを強く感じさせてくれる極上エンターテインメント作品。間違いなくマイ本棚の殿堂入り作品。電車の中で読んでいて、あふれる涙をおさえることができませんでした。こんな人物がいたということに、ただただ驚くばかりである。
読了日:07月11日 著者:百田 尚樹
母ちゃんのフラフープの感想
とても良い本だった。ロンブー淳が、母との思い出を軸に半生を振り返る。突然訪れた母への病の宣告。限られた時間の中で、決して弱みを見せずに明るく振舞い続けるお母さまの姿に、読むワタクシの目にも涙が浮かぶばかり。それでも淳氏は、十分すぎるほどにその最後の大切な時間を最高の形で過ごせたのではないだろうか。誰にでも訪れる死、明日生きているかもわからない現実、だからこそ大切な人への感謝の気持ちを忘れてはいけない。ネガティブに取られがちな遺書へのイメージも、本書を読んでがらりと変わった。自分も遺書を書いてみたいと思う。
読了日:07月14日 著者:田村 淳
オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年 (光文社新書)の感想
すっかり強豪球団になった感のあるオリックスだが、実に25年間も優勝から遠ざかっていた万年弱小球団だった。阪急からオリックスへの身売り以降の足取りをしっかりとひも解いていくことで、現在の強さの秘密を探っていく。有名選手もさることながら、裏方にまでキッチリとスポットライトを当て、時代時代を丁寧に検証していくスタイルは、オリックスファンならずとも、非常に面白く読めた。岡田、西村、森脇といった外様監督による回想が実に興味深い。それにしても、自前で選手を育てていく近年の手法は、完全に成功した感がある。
読了日:07月26日 著者:喜瀬雅則
ぼくのボールが君に届けば (講談社文庫)の感想
伊集院さんの短編集。いずれの作品も「野球」がキーワードとなっている。親子、恋人、家族など、人間模様を書かせたら天下一品。そして今回の作品も、登場人物たちの多くが深い慈愛とやさしさにあふれている。本筋に関する“感動”には触れないが、元来の野球ファンとしてジワリとした記述に触れよう。「野球の魅力は、選手も観客もすべてが、たった一球の行方に目を奪われていること」・・・野球というスポーツの魅力に、いま改めて気づいた次第である。
読了日:08月01日 著者:伊集院 静
基本は、真っ直ぐ―― 石川雅規42歳の肖像の感想
球界最年長投手、ヤクルト石川選手のドキュメント。コロナ禍での2年間、丹念に取材を重ねている。もともとは200勝達成時に出版の予定だったというが、この2年間に焦点をあてて、まずはこの形での出版となったようだ。それだけ見るべきところが多いのだろうが、いつも冷静に語り、そして誰に対しても謙虚な姿勢を崩さない石川選手は、人間性の高さを感じずにはいられない。20年も投げ続けるタフネスぶりは、まさに小さな大投手。山本昌さんの例もあるだけに、まだまだ第一線でヤクルトを支え続け、200勝を達成してほしい。
読了日:08月10日 著者:長谷川晶一
静かに、ねぇ、静かにの感想
久しぶりに手にする本谷作品。3篇の短編集。そしてそのすべてがBAD END。エンタメ小説だから、それもまたよしなんだが、どうも暗澹とした気持ちになってしまいがちで、自分とはあまり相性がよくない作家なのかもしれない。
読了日:08月13日 著者:本谷 有希子
虚空の人 清原和博を巡る旅の感想
一気読み。鈴木忠平さん、素晴らしい。プロ野球ノンフィクションライターとして、完全に一線を超えた感がある。「嫌われた男」もよかったが、清原を追ったこの一冊も、最初の清原本以上に読み応えがあった。薬物中毒からの離脱という、とても精神的にもろい時期に取材を重ねることができたのは、やはり清原からの厚い信頼があってのこそだろう。悪しともせず、良しともしない、そのスタンスは「今の清原」をただ伝えていくというノンフィクションの本当の姿なのかもしれないと思った。それにしても「清原を使って金儲け・・・」の言葉はつらい。
読了日:08月14日 著者:鈴木 忠平
ハンパねぇ!高校野球 (小学館よしもと新書 ふ)の感想
夏の甲子園の熱戦が続く。そのタイミングで積ん読本を読み始める。そして一気読み。アメトーーク!の高校野球芸人は過去の神会であったが、その主要人物のひとりであるトータルテンボスの藤田が高校野球を熱く語る。高校野球とは、永遠に終わらない絵巻物。おふざけは一切なし。高校野球に対する藤田の熱い思いと愛が伝わって来た。各都道府県の傾向を解説する章は、実に秀逸。明日からの甲子園の熱闘が、何倍にも面白く見れそうな、そんな高校野球本でした。
読了日:08月16日 著者:藤田 憲右
天才は親が作る (文春文庫)の感想
久々の再読。初読時にはワタクシも子供がいなかったような。松坂に始まって、大谷や里谷多恵、イチロー、杉山愛など、「天才」と呼ばれたスポーツ選手たちの子育てをクローズアップ。丁寧な取材、登場する親たちの協力の下でつづられた非常に貴重な作品である。すべての親たちに共通していることは、子供の主体性を大切にし、また子供に対して時間や努力を惜しまないという点。「親も一緒に楽しませてもらった」という言葉が、非常に含蓄にあふれている。ワタクシの子供も小3。親離れも近づく年代だけに、子供と過ごす時間を大切にしたいと痛感。
読了日:08月31日 著者:吉井 妙子
向田邦子の陽射し (文春文庫)の感想
爆笑問題・太田による、向田邦子評論集。連載という形がとられたようだが、本書ではそれらに加えて、実際に太田が選んだ作品も掲載されているので、向田邦子さんは初という人にもとっつきやすいと思う。それにしても向田さんは、なんと人の機微を描くのが得意な方だったんだろう。ただ、そこに描かれているのはあくまでも「昭和」。昭和だからこそ、50代のワタクシにはとても心地よく刺さってくる気がしないでもないわけだが。向田さんが存命していたら、平成、令和と、どんな作品を作り上げていったんだろうか。
読了日:08月31日 著者:太田 光
七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV (文春文庫)の感想
定期的に読みまくっているIWGPシリーズだが、いくつか飛ばしてコチラを手にする。ネットにSNSと、世相を見事なまでに反映しながら描く池袋青春(?)群像は、時代が流れていっても全く面白さは変わることがない。本作も、いつもどおりグイグイと読み進めることになった。
読了日:08月31日 著者:石田 衣良
ラヴレターズ (文春文庫)の感想
なかなかにユニークなセレクト集。作家ほか著名人に、ラブレターを書いてもらうという趣旨。興味深いのは、ほぼすべての人が、初恋の人なり、過去の自分に立ち返って手紙を書いている点。また、人間ではない相手への手紙も少なくなく、とてもユニークであった。果たして、自分は同様の依頼を受けたのであれば、いったい誰に向けてラブレターをしたためるのだろうか。。。
読了日:09月10日 著者:川上 未映子,村田 沙耶香
告発 誰も晒せなかったSNSのヤバすぎる闇 (書籍)の感想
ダラダラと読了。人気YouTuberが、ネットがらみの犯罪を「告発」。それにしてもネット利用の若年化、そしてそれに伴うネットを起点とする未成年への犯罪も激増しているんだな。誰もが気軽に利用できるツールだからともいえるが、生まれたときからインターネットやスマホがある世代にとって、リアルではない出会いが引き起こす犯罪やトラブルの怖さは、われわれ昭和世代には理解しがたい点もある。子供を持つ身としては、それなりに勉強になった。
読了日:09月15日 著者:コレコレ
絶望スクール 池袋ウエストゲートパークXV (文春文庫 い 47-25)の感想
一気読み。やっぱりIWGPシリーズは面白すぎる!本という極上のエンターテインメントを堪能できたという思いでいっぱいだ。もはや水戸黄門的な完全懲悪のパターンが完全に確立されているわけだが、それでも世相をしっかりと盛り込んできているから、いつ読んでも古さを感じることがない。ああ、もっと読みたい!
読了日:09月15日 著者:石田 衣良
村上T 僕の愛したTシャツたち (Popeye books)の感想
村上春樹氏ならずとも、誰しもついつい溜まっていきがちなTシャツ。何を隠そうワタクシも数百枚を所有するTシャツコレクターだけに、これは楽しみに手に取った一冊。ジャンル別に分けて、それぞれのTシャツを引っ張りだしては、買った場所や時代、そのころの思い出に触れたりして・・・まさにこれこそTシャツ道。マラソン大会ものなどは、そのまま段ボール行きというものもあるなんてあたりは、ワタクシも身に覚えアリ。それにしても、各国の書店が村上氏の作品に絡めて作ったTシャツというのは激レア。この人だからこその貴重な一品だなあ。
読了日:09月30日 著者:村上春樹
amazonが成長し続けるための「破壊的思考」 (扶桑社新書)の感想
amazon japanの創成期から会社の中枢にいた筆者が、amazonという特殊かつ現代を象徴する会社とは、いかなる会社なのかを解説。読み終わるまでに、なかなか時間がかかってしまった。個人的にはAWS関連について、もう少し深く触れてほしかったというか、知りたかったという読後感。
読了日:09月30日 著者:星 健一
SHOE DOG(シュードッグ)の感想
ついに読了。ナイキとその創設者フィル・ナイトの歩んできた半生が、事細かにつづられる。この成功物語は、絶対的な信念を持ち続けてきたからこそのことなのだと、あらためて理解できた。それにしても、この世界的モンスター企業が、黎明期には日本と大いに関わりがあったことは、とても興味深い。日本人としては、ちょっと誇らしい気持ちになったのも事実である。
読了日:10月05日 著者:フィル・ナイト
アントニオ猪木 (新潮新書)の感想
猪木本は多数読んできた自分だが、この猪木本は新書という形態ながらにして、猪木の魅力を存分に引き出しているといえそうだ。というのも、そのほとんどをすでに知っている自分であっても、一気読みで面白く読めてしまったからである。スキャンダラスな部分というよりは、猪木の魅力そのものを引き出すことに注力しているのだろう。やっぱり猪木ってすげえ!とあらためて痛感してしまった。個人的には、イラクでのあれこれ、それに倍賞さんとのあれこれ、あたりのストーリーがツボでした。過去本も引っ張り出してこよう。
読了日:10月05日 著者:瑞 佐富郎
新書833 警察庁長官 (朝日新書)の感想
警察庁長官という職業をわかりやすく解説。警察と警視庁、警視庁長官と警視総監などの違いは、まったくわかっていなかった。よかったのは、歴代の警察庁長官へのインタビュー。あの國松長官を筆頭に、やはり骨太の人物が多い。警察の役割も時代と共に変わってきたが、やはり私たちの生活を守ってくれる心強い存在であることを、あらためて痛感した。
読了日:10月17日 著者:野地秩嘉
憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI (文春文庫)の感想
ギャンブル中毒に合法ドラッグ、ヘイトスピーチに、そしてノマドまで・・・。このシリーズ、そしてマコトたちを取り巻く池袋の様子も、時代とともに確実に移り変わっていく。こちら2ndシリーズの第一弾のようだが、IWGPらしい痛快なストーリー展開は、もちろん健在。完全懲悪の流れは、まさに現代の水戸黄門さながらだが、ファンにはやっぱりたまらない。まだまだ読みたいシリーズである。
読了日:10月21日 著者:石田 衣良
裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII (文春文庫)の感想
最近またまたマイブームで、次から次へと読んでいるIWGPシリーズ。本作のテーマは、虐待、ネット炎上、薬物、霊感商法にヘイトスピーチ。勧善懲悪のマコトやタカシの活躍は、ほぼ毎回お約束のパターンだが、時代時代で社会問題を敏感に取り込んでいくことで、ここまで面白く新鮮に読めるものだなと、あらためて感心するばかり。最近は、結婚なんかのネタが増えてきたのも、シリーズを重ねてきた歴史なんだろう。今回はサルの登場シーンも多く、サルファンとしてはうれしかった。
読了日:10月25日 著者:石田 衣良
うたかたのエッセイ集の感想
水道橋博士のメルマガで連載を持ち始めたころから、その才能にはひそかに注目していた酒井若菜さん。そのメルマガなどでのエッセイが一冊の本にまとめられた。独特の空気感を持つ彼女だが、文章を読むと感受性の強さがとてもにじみ出ている。この本は、間違いなくゴーストライターは使っていないと思うのだが、それもそのはず、圧倒的な読書量を持つ彼女だからこそ、女優としては違う一面を甲も出せるんだろう。
読了日:10月25日 著者:酒井若菜
伝説の経営者100人の世界一短い成功哲学の感想
田原さんがこれまでにインタビューを重ねてきた数々の日本の経営者たちとの会話を振り返り、そのキャッチボールの中から、それぞれのイズムを抽出していくというような内容。これだけ多くの経営者たちに対して、対等なスタイルでぶつかっていったという人は、田原さんをおいてほかにないだろう。鋭く切り込んでいく中で、その相手である経営者たちが返す言葉というのは、やはりどれも説得力があり、決してぶれることのない、経営者たる者らしさを感じる含蓄のあるメッセージが多かった。3ページ構成になっているので読みやすさ抜群。
読了日:10月31日 著者:田原 総一朗
天才論 立川談志の凄み (PHP新書)の感想
立川一門の談慶氏が、主に二つ目に上がるまでの師匠との日々を振り返る。二つ目に上がるまで9年とは、なんとも長すぎる下積み時代であるが、なぜ天才と呼ばれた談志が、弟子に無理難題を与えてきたのか、その深い部分に大いに感銘を受けた。エキセントリックな部分がヒューチャーされがちな談志ではあるが、身近にいた弟子だからこそわかる人間らしい部分も垣間見えて、今まで以上に親近感がわいた。
読了日:11月06日 著者:立川 談慶
1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法 (PHPビジネス新書)の感想
半年ほど前に、保険代理店の友人からNISAや資産運用について散々話を聞かされたのだが、今さらながら本屋でこんな本を見つけ、わかりやすそうだったので手にした次第。老後2000万円時代に、50歳からでもしっかり資産運用をしなければとんでもないことになる。そんな危機感を持ちながら読んだわけだが、2024年からいよいよスタートする新NISAについて、実に理解が進んだ。とにかく少額でも始めてみるだけの価値はありそうだ。
読了日:11月08日 著者:中野 晴啓
さらば愛しき競馬 (小学館新書)の感想
家庭の事情とはいえ、かえすがえすも角居調教師の引退は残念過ぎる。。。前作よりも、競馬ファンの立場に立って役立つ情報やお話多数。面白い。数々の名馬を生み出した名伯楽の話は、競馬ファンにとっては楽しい限り。
読了日:11月13日 著者:角居 勝彦
Sports Graphic Number(ナンバー) 1083号 2023年 11/9 号 [雑誌]の感想
今年も来ました秋競馬特集。名馬のエピソードの思いを馳せながら、当てるぞ!!
読了日:11月13日 著者:
悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味 (講談社+α新書)の感想
ガーシーは結局逮捕されてしまったんだが、この本は出たらすぐ読んでおけばよかった。それくらいに面白い。元・朝日新聞記者が、ドバイにてガーシーに密着レポート。どこまでさらけだしたのかはわからないが、記者に心を許していただろうことは推測できる。ガーシーはともかく、その周辺の人物相関図が、とにもかくにも面白い。まさに現代の梁山泊。犯罪行為はNGだが、失敗をしてもやり直し、そして大成功を収めることができるという実例ではあると思う。それとYouTubeの緻密な戦略は大変参考になった。
読了日:11月24日 著者:伊藤 喜之
猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯の感想
やはり猪木さんは最高だった。猪木の最晩年に、関係者たちが猪木論を語る。佐山、前田、藤波、藤原、蝶野、武藤、藤田、小鹿、北沢、天龍、石井館長、大仁田、サイモン。。。ケンカ別れしようと敵対しようと、そんな小さいことはどうでもいいという猪木の器をあらためて感じるばかり。皆が口をそろえて、猪木への感謝を言葉にするあたりは、昭和プロレスファンとしてはたまらない。不世出のレスラーであった、アントニオ猪木のいた時代を生きてくることができた幸運に私自身もあらためて感謝。
読了日:11月24日 著者:アントニオ猪木,佐山 聡,前田 日明,蝶野 正洋,天龍 源一郎,ほか
働き方 完全無双の感想
ひろゆきが語る現代働き方論。とても鋭い視点で、なるほどとうなずけること多数なのだが、メッセージのターゲットは20代あるいは30代までか。50代となってしまった自分には、もはやドラスティックな割り切りが厳しい。現役世代の終盤を迎えた人間にとっては、現状のシステムの中で、いかにうまくやりぬくかということなのだろう。なんとももどかしさが残った。
読了日:11月28日 著者:ひろゆき
大人のマナー術 (光文社新書 1249)の感想
ひさびさの辛酸さん。noteで連載していたものをまとめたもののようで、テーマは大人のマナー術。そもそもがオタク系?女子の辛酸さんだけに、一般的にはどこまで参考になるのかわからないが、独特の視点は興味深い。おりしもコロナ禍の時期に書かれたもののようで、当時は人と会うことすらはばかられる世の中になっていたこともあって、そのあたりの世相を懐かしみながら読んだ。テレワークにオンライン会議と、時代はその後すっかり変わってしまったのだが、やはりそんな時代だからこそ大切なのはフェイストゥフェイスだと痛感。
読了日:11月30日 著者:辛酸 なめ子
MUSIC 100+20の感想
HFの触れてきたお気に入りの120アルバムを紹介。2ページ1作品という構成なので、酒を飲むときに、だらだらと読み進めた。とても優しさの伝わる文体で、エラソーな感じもなく、ちょこちょことメモりながら、久しぶりに「CD」を買いたくなってきた。
読了日:11月30日 著者:藤原 ヒロシ
野村克也からの手紙 ~野球と人生がわかる二十一通~の感想
ノムさん、最晩年の作品の一つ。先輩、仲間、ライバル、後輩、教え子、そして家族。ノムさんがつづる21通の「手紙」。丸くなったノムさんの姿が垣間見える手紙は、どれも心のこもったものばかりであり、ノムさんファンとしては、とてもたまらない一冊であった。
読了日:11月30日 著者:野村 克也
納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)の感想
長く積ん読状態にあった一冊だが、ようやく手にして読み進める。映画にもなるなど話題になった一冊だけに、なかなかに面白い。前半の1章、2章は、納棺夫という、世の中で必ずなければならない仕事に就きながらも、家族を含む周囲から「なぜそんな仕事を」と蔑まれるようなつらい日々での心の葛藤、そして心の変化が細やかにつづられる。吉村昭氏も無名時代に才能を見出していたというから、日記から拾い出しての構成でありながら、とても面白い。3章は宗教書?哲学書?という内容になり、自分は面白く読めなかったが、ここも評価が高いようだ。
読了日:12月14日 著者:青木 新門
ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男の感想
まさにヤフー(ジャパン)を作った男──森功氏による、その男の評伝。莫大な富を手にしたあと、趣味の世界に没頭。ついにはクラシックカーの世界で、レース中に非業の死を遂げる。幼少期からていねいな取材で、井上氏の死後に周囲を徹底的に取材。団地住まいの普通の少年が、IT長者になりうるまでのストーリーは、この時代のドリームそのもの。本人はもちろんのこと、周囲も「ならずもの」だらけで、実話とは思えないほどの波乱万丈に満ち溢れている。いまやヤフーは日本にあるのみ。一時代を築いた男の人生を堪能させてもらった。
読了日:12月18日 著者:森 功
ひとりで生きる 大人の流儀9の感想
無頼派としてならした伊集院さんも、逝去されてしまった。そんな中で、積ん読本の中から人気シリーズを引っ張り出して手にする。「ひとりで生きる」がテーマだけに、行間を読み込んでいくと、伊集院さんも随分優しくなってしまったということが垣間見える。久しぶりに読んだが、伊集院さんらしい男の背中を感じられ、やはりこんな風にかっこよくなってみたいもんだなと思った。
読了日:12月21日 著者:伊集院 静
読書メーター
例年3ケタはキープし続けてきただけに、なんだか残念というよりほかにない。
2017年155→2018年146→2019年161→2020年146→2021年146→2022年110。
生活スタイルが変わったのか?
スマホいじりの時間が増えたのか?
いずれにしても2024年は、再び3ケタに乗るようにしなければいけないと痛感している。
2023年の読書メーター
読んだ本の数:84
読んだページ数:22418
ナイス数:1256
強打者 (ワニブックスPLUS新書)の感想
前作に続いて読んでみた。江夏が選ぶ強打者たち。実際に対戦したことのある打者たちは、エピソードに加えて対戦成績も収載。王、長嶋をはじめとする打者たちは、本塁打数も多いが三振数も多く、真っ向勝負を挑んでいたことがうかがわれる。目上の人はさん付け、年下の人は君付けでの記載だが、全体的に批判的な見方はなく非常にフェアな印象。見た目にそぐわず酒は飲まないという江夏こそ、実は野球が好きで好きでたまらないんだろうと思う。
読了日:01月12日 著者:江夏 豊
たぬきが見ていたの感想
PUFFYの亜美が小説すばるで連載していたエッセイのまとめ本。思えばデビューした時から知っていて、ときにはドはまりしてLIVEにも足しげく通っていたこともあったが、ワタクシが50になったのと同じように、彼女たちもそんな年になったのだなあ。本エッセイでは、娘さんとのふれあいや子育てなど、とてもほっこりする内容が満載。やっぱりデビュー当時から変わらないユルさがたまらない。それでいて、子育てをはじめとして、実は一本筋が通っていることを知ったりして、あらためてファン(時代ごとに濃淡あるが)でよかったなあと思えた。
読了日:01月16日 著者:大貫 亜美
もう時効だから、すべて話そうか 重大事件ここだけの話 (小学館文庫 い 48-1)の感想
事件系ノンフィクションライターの一橋文哉氏が、自身がかかわった数々の事件を振り返るというもの。前半はオウムにグリコ森永、三億円事件など、興味深く読めたものの、中盤以降は残忍な事件ばかりが続き、読んでいてなかなか辛いものがあった。「事項だから話す」というほどのネタではなかったかも、全体的に。
読了日:01月18日 著者:一橋 文哉
Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔の感想
台湾のデジタル大臣、オードリー・タン氏の半生に密着。幼少期からとてつもなく高いIQで周囲を驚かされ続けた天才は、なんと中卒でITの最先端の世界に身を投じる。そして女性として生きることを決めたりと、若くして閣僚になったりと、その生き方と行動はすばらしすぎる。圧倒的な行動力を持ちながら、常に対話と思いやりを重んじ、怒りを見せることもない優しき心の持ち主であることも、大きな賛同と共感を得る理由だろう。巻末には特別付録として台湾がいかにコロナを乗り切ったかのレポートも収載されていて、大変勉強になった。
読了日:01月23日 著者:アイリス チュウ,鄭 仲嵐
ドラゴン・ティアーズ――龍涙 池袋ウエストゲートパークIX (文春文庫)の感想
相変わらず面白すぎるIWGPシリーズ。ついに9作めを手にした。本作でも、マコトの活躍ぶりはますます冴えわたるばかりであるが、執筆時の世相がしっかりと映し出されていて、そのあたりも本シリーズの面白さの一つとなっている。美容系のキャッチ、非正規労働者(ホームレス)、出会い系に海外からの低賃金労働者問題と、なかなかバリエーション豊富だ。それらの要素を、見事なまでにストーリーにからめており、エンターテインメント作品として高い完成度を実現している。
読了日:02月06日 著者:石田 衣良
キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 (文春文庫)の感想
池袋の「キング」ことタカシが、どのようにして現在の姿であるキングになったのか。その時代へと舞い戻り、若き日のタカシとマコトの独特な友情をベースに物語がつづられる。一夜にして家族を二人も失うという大きく深い悲しみは、冷徹非情なキングを生み出したということなのか?地元を心から愛するヤツらの、温かくも切ないストーリー。
読了日:02月06日 著者:石田 衣良
人志とたけし: 芸能にとって「笑い」とはなにかの感想
以前より読みたかった本なんだが、筆者の視点?見方?が自分にはまるで合わず、面白く読むことはできなかった。ただ、マキタスポーツさんはじめとする対談については、著者以外の人の言葉に読みどころがある。最後の対談では女性芸人論なども出てきて、このあたりは本題とは外れているものの、最後の最後で読みどころがあった感じ。
読了日:02月08日 著者:杉田 俊介
海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)の感想
もっと早く読むべきだった!それほどまでに面白い。限りなくフィクションに近い作品で描かれるのは、出光興産を興した男の物語。とにかく実直で行動力があり、まさに日本男子たるもの、こうあるべきだと思うばかり。その社員(店員)の誰もが、苦しい中でも生き生きと働きまくる姿には、何度胸を熱くしたことか。戦争という時代に振り回されながらも、なおも前を向き続ける石岡の姿に、大きな勇気をもらったことはいうまでもない。ページ数が上巻だけで400を超える大作だが、下巻も思い切り満喫したい。
読了日:02月22日 著者:百田 尚樹
窓ぎわのトットちゃん (講談社文庫)の感想
初版1984年。小学生高学年か中学生のころに、手にした記憶があるが。。。50になった今、再び手にすると、トモエ学園が現在私が暮らすエリアでのことであり、自由が丘やら九品仏、等々力といった地名が出てきて感慨深かった。昔読んだとはいえ、内容は記憶していなかっただけに新鮮。これまた小学生の子供を持つ身には、トモエ学園の教育スタイルが実に共感できることばかり。戦況厳しくなるシーンも描かれているが、そのあたりも子供目線で書かれているのでとても読みやすかった。子供にも、ぜひ読んでほしい良書だと感じた。
読了日:02月22日 著者:黒柳 徹子
走って、悩んで、見つけたこと。の感想
大迫選手のトップになるためのストイックなまでの思考には、ただただ驚くばかり。しかもそれを、中学生のころから実践してきたのだというから、やはり成功する人というのは違うんだな。本書の巻末には、読者の質問に答えるコーナーがあったが、そこでもまったく思考がブレることはない。なかなか自分には真似できない生き方だと思った。
読了日:03月09日 著者:大迫 傑
江夏の21球 (角川新書)の感想
表題作を含む山際さんの名作を新書に再集録。もう何度読んだかわからない「江夏の21球」だが、臨場感あふれる描写はスポーツノンフィクションの金字塔として、今なお色あせることはない。社会人野球、あるいは高校野球など、ときに裏方にも光を当て、なおかつ読ませる山際さんの作品は、スポーツの楽しさと魅力を再発見させてくれる。山際さんが、今やっているWBCを見たら、どんな風に描いたんだろうか。
読了日:03月12日 著者:山際 淳司
成熟スイッチ (講談社現代新書)の感想
話題になっている林真理子さんの新書。テーマは「成熟」。今回は特に感じたのだが、本人もおそらく自覚しているように、とにかく丸くなっていることがうかがえる。足し算の人生から、引き算の人生に差し掛かった年齢にあって、日大の理事長に就任するなど、まだまだ大活躍中の著者。気を張り詰めて生きている人なら、ほんの少し楽になれるかも、、というような一冊でした。
読了日:03月12日 著者:林 真理子
選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論 (講談社文庫)の感想
デヴィ夫人の半生記、、というか、女性向けの指南書(汗)。貧乏だった幼少期、そして高校に行かずに社会へ。さらにスカルノとの出会いから、圧倒的な成功を手にするあたりへのくだりは、初めて知ったことも多かった。スカルノ失脚後、自身の力で成功したようだが、そのあたりはもう少し詳しく知りたかった。ただ、美貌と愛嬌、知性をもって、大統領夫人という地位を得たような日本人は皆無なわけで、女性にとっては参考になる言葉が多いのかもしれないなとも思った。
読了日:03月18日 著者:ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ
死ぬこと以外かすり傷の感想
仕事で完全に心が折れそうだったので、積ん読本から引っ張り出した次第。暴言等からスローダウンした感はあるが、これは絶好調のときに書かれた本。仕事に対する取り組み方について、すごいの一言。心が折れそうな毎日を過ごしているなかで、自分の心のベクトルが上向きになったことは間違いない事実。行動が伴っているから、言葉に説得力がある。
読了日:03月18日 著者:箕輪 厚介
海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)の感想
海洋プラスチック問題が取りざたされているが、それをわかりやすく整理した一冊。マイクロプラスチック・・・もはや発生させることは不可能なんじゃないだろうか。ゴミを拾う、プラスチック製品を使わない、いったい何が正しいのかをあらためて考えさせられる一冊。ただ、結局私たちは今の生活の中で、いま何をすべきなんだろうか。。。
読了日:03月31日 著者:保坂 直紀
部長って何だ! (講談社現代新書)の感想
小さな会社ながらも、自分自身も部長になって早2年。超多忙な毎日の中で手に取ってみた。著者の半生記でもあるわけだが、スパルタンな昭和的な行動・考えは、現代にはそぐわないながらも、もろ昭和人間のワタシにはとにかく納得できることばかり。がむしゃらに働いてこそ・・・なんだよな。50代を迎えた今というタイミングで、なんとなく背中を押されるような、元気になる一冊でした。
読了日:03月31日 著者:丹羽 宇一郎
弱い男 (星海社新書)の感想
一気読み。数々の野村本を読んできたが、この一冊だけは他とはまったく趣旨を異にする。ノムさんの最晩年にインタビューしたテーマは「弱い男」。愛するサッチーを失ったノムさんの口からは、とにかく弱弱しく、ネガティブな発言しか出てこない。。。ボヤキでもなんでもないノムさんの「弱さ」に、どこか寂しいものを感じた。天国でサッチーと楽しく生活していることを心より祈念します。
読了日:03月31日 著者:野村 克也
秋篠宮家と小室家 (文春新書 1350)の感想
文春がこれまでに取り上げてきた「秋篠宮家と小室家」の騒動を総括。キーマンとなる眞子さまについて、その生い立ちから性格に至るまで、非常に興味深く読めた次第。それにしても出会った男が悪すぎた・・・。そして驚いたのは、眞子さまの母である紀子さまと、小室の母が丙午生まれの同い年であるという事実。これは知らなかった。何か運命的なものを感じずにはいられない。
読了日:04月05日 著者:文藝春秋編
世界ヤバすぎ! 危険地帯の歩き方 (わたしの旅ブックス)の感想
「クレイジージャーニー」で有名なゴンザレス丸山氏の著作。以前読んだ記憶がある新書のほうは、なかなかにヘビーな内容だったが、こちらはどちらかというと、丸山氏がどのように旅にひかれていったか、取材中のこぼれ話なんかも多く、軽い感じで一気に読み進めていくことができた。丸山氏が言うところの「危険地帯の歩き方」は、われわれ一般人にも応用できそうなことも多く、知っておいて損のない話もたくさんあった。
読了日:04月07日 著者:丸山ゴンザレス
サンドウィッチマンの俺等に聞くの!?の感想
サンドウィッチマンが、赤ちゃん子育て雑誌で、まさかのお悩み相談室を連載。それをまとめたものなのだが、まあユルい感じで、面白すぎ。ちょいちょいエロ方面に流れたりもするものの、やはりそこはお二方ともお子様がいるだけに、的確で愛のある答えが心地よい。
読了日:04月08日 著者:サンドウィッチマン
SHOE LIFE(シューライフ) 「400億円」のスニーカーショップを作った男の感想
一気読み。とにかく熱かった日々の思い出がよみがえってくる!アトモスを400億円で売却した創業者の半世紀。フリーマーケットからスタートし、独自のアイデアで日本にスニーカーブームや裏原宿文化を生み出した歴史は、もうとにかくスゴイの一言。その半生とは、スニーカー文化の歴史そのものだけに、同じ時代をスニーカーに魅せられてきた一人としては、興奮とまらない歴史絵巻物とも思えた。これからのビジネス展開、そしてひと段落した感もある直近のスニーカーブームの行く末も含めて、氏の今後の取り組みにも注目したい。
読了日:04月10日 著者:本明 秀文,小池 裕貴
9月1日 母からのバトンの感想
内容を知らずに手にした一冊だったのだが、「9月1日」というワードについて、これまで全然意識したことがなかった。子供の自殺が一番多い日・・・2学期の始まり、というデータは、なんともうすら寒い思いがする。本書は、母である樹木希林さんのライフワーク的なところを、娘がおっていくというもの。さまざまな人たちとの対話から、樹木希林さんが考えていたことや行動が、時を超えて理解が進んでいくというのは感動的ですらある。不登校、引きこもり、いじめ。。。決して他人事ではない。そんな子供たちを守ることが社会には求められている。
読了日:04月18日 著者:樹木 希林,内田 也哉子
赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝 (文春文庫 い 47-7)の感想
久しぶりのIWGPシリーズは、スピンオフ作品。ギャンブルにおぼれ、ギャンブルで起死回生の一発を狙う男の格闘が、IWGPのメインキャラであるサルをイイ感じでかませて、ストーリーとして展開されていく。臨場感あふれる記述は、石田さんならでは。IWGPの世界観を見事に反映した作品であった。
読了日:04月18日 著者:石田 衣良
スマホ脳 (新潮新書)の感想
かなり話題になっていた本だが、ようやく手にした。その内容は、ぞっとするくらい。スマホ依存によるさまざまな影響について、事例が提示されているが、自分に当てはまることが多すぎて、怖くなってしまうくらい。気を付けないとヤバイな。。。スティーブ・ジョブスが自分の子供にiPadを使わせていないといった事実は、その恐ろしさをしっているからにほかならないということだろう。
読了日:04月21日 著者:アンデシュ・ハンセン
1999年の松坂大輔 歴史を刻んだ男たちの感想
表題作を含む野球ノンフィクションが4作品。デビュー年の松坂をクローズアップした一作も面白かったが、何よりよかったのは現オリックス監督の中嶋さんをヒューチャーした「幸せなキャッチャー」だ。現役当時に取材されて原稿化された作品なのだが、これを読むと今の日本一監督にまで上り詰めた事実がなんとも感慨深い。山田久志の薫陶を受け、さらにはダルビッシュ、そして大谷の球まで現役で受け続けたキャッチャーは、たしかに幸運。関わったピッチャーたちのコメントの数々が、とても興味深かった。他2作もGOOD。
読了日:04月21日 著者:長谷川 晶一
東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)の感想
私の世代にとっては完全にラブホテル街のイメージしかない、渋谷・丸山町。その今昔物語といった感のあるルポタージュ。時代時代を、その時代を知る人に取材していくスタイルである。しかし何より、あの東電OL事件もここを舞台に起きたんだなあ・・・。現代社会の深い闇ともいうべきじけんだったが、久しぶりに詳細に触れ、その真相はいかにといった感を持った。著者は他の街でもこのようなシリーズを展開しているようなので、機会があれば読んでみたい。
読了日:04月27日 著者:本橋 信宏
時事漫才 爆笑問題の日本原論の感想
爆問の原論シリーズは愛読していたが、とんと単行本が出なくなって久し。その間も媒体は変われど、連載は続いていた模様。本書には2015-2018年の連載が収載されている。太田の妙な食いつきや、田中の絶妙な突っ込みは健在。時代を振り返るにあたって、ふたりの掛け合いは最高の教科書となることは間違いない。このスタイルは、やはり爆笑問題の王道であり、それを味わうことのできる貴重な一冊であることは間違いない。
読了日:05月07日 著者:爆笑問題
日本依存から脱却できない韓国 (新潮新書)の感想
いやあ・・・韓国すごいな。言ってることとやってることとが違いすぎる。で、結局日本とは互いに依存していると。読了のタイミングで、まさに日韓首脳会談が行われていた。隣国なんだから、もっと仲良くすればいいことずくめなんじゃないかなと思えた。
読了日:05月10日 著者:佐々木 和義
きりこについて (角川文庫)の感想
素晴らしい!まさに一気読みしてしまったが、西加奈子ワールド全開!破天荒で、どこまでも優しい登場人物たち。読むだけで元気になれるし、読むだけで心穏やかになる。主人公のきりこ、そしてラムセス2世、さらに、りせちゃんをはじめとする面々。その誰もが再びつながる物語は、西加奈子さんの作品の王道か。ストーリーに触れることはあえて避けるが、きりこの両親の我が子を思う「愛」には、大いに共感する部分があった。へとへとな毎日を過ごすワタクシにとって、西加奈子作品は、なにものにも代えがたいエネルギー飲料なのだと痛感。
読了日:05月10日 著者:西 加奈子
2023プロ野球写真&データ選手名鑑 (NSK MOOK)の感想
今年も数ある年間の中からコイツをチョイス。圧倒的なデータ量は非常に勉強になること請け合い。で、どうでもいいエピソードも満載なのも、毎年楽しませていただいている。
読了日:05月10日 著者:スラッガー
経験 この10年くらいのことの感想
アマゾンのウィッシュリストには前々から入っていたんだが、ようやく購入→精読。くりいむ上田の日々をゆるゆるとつづったエッセイ集。子供との絡みが面白かった。上田さんの子供のように、ワタクシの子供もクラスで一番面白い女子を目指してほしいばかり(笑)
読了日:05月31日 著者:上田晋也
辛酸なめ子の独断! 流行大全 (中公新書ラクレ 747)の感想
辛酸なめ子さんが斬る世相。2014年から2022年まで、2ページ1話完結で、すごく微妙なネタも含めて語っていくわけだが、いやあ時代を感じさせられるばかり。それにしてもこんなコロナだらけの世の中になってしまうとは、2014年の自分はつゆにも思っていなかったんだろうな。
読了日:05月31日 著者:辛酸 なめ子
日本進化論 (SB新書)の感想
久しぶりの落合陽一さん本。政治とテクノロジーを絡めた今後のキーワード、ポリテック。その構想はなかなか素晴らしいものではあるのだが、なかなか日本には根付きそうもない。若手論客の古市氏と比べると、全体的にはどこか穏やかな感も受ける論調。どうでもいいことだが、最近、落合陽一氏の父が、かの落合信彦氏であることを知り度肝を抜かれた。オチノブ読者ではあったが、まったくこれまで気づかなかった次第。
読了日:05月31日 著者:落合 陽一
PRIDE-プライド 池袋ウエストゲートパークX (文春文庫)の感想
定期的に読み進めているIWGPシリーズだが、気付えば10作目。すっかりファンになっている(汗)。本作でも時代を読み解いた舞台設定が秀逸。一番印象的だったのは、やはり表題作の「PRIDE」か。ただ、若者のホームレス化というテーマはさておき、レイプというハードなテーマはなかなかシビアなもので、だからこそ読み応えがあった。エンディングも悪くない。
読了日:05月31日 著者:石田 衣良
Sports Graphic Number1073号(競馬総力特集 90th 日本ダービー)の感想
NUMBER恒例のダービー特集。うっかり出てるのを失念していたものの、ダービー前日までに読了。おかげさまでダービーとれました!渡辺と和田の対談はよかったなあ。
読了日:05月31日 著者:
「名コーチ」は教えない プロ野球新時代の指導論 (集英社新書)の感想
現代プロ野球コーチ論。6人の「名コーチ」が登場するわけだが、いずれも自分はあくまでも裏方に徹してというスタンスが興味深い。「俺のときはこうやった」というのは、現代には全く合わないということ。プレーしている本人の意識をいかに変え、いかに自分が考えて行動したのかということを感じさせるかということ。複数の球団に壊れ続ける理由とは、そんなところにあるんだろう。吉井、橋上といったあたりの著述は、特に面白く読むことができた。
読了日:06月06日 著者:高橋 安幸
ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)の感想
ちょっと前に話題になった本。会社ではなく、個としての「ブランド人」を目指せというメッセージを、自身の例を踏まえて熱っぽく語り尽くす一冊。人生には遅すぎることはない・・・今すぐでも思い立ったが吉日ということなんだろう。
読了日:06月09日 著者:田端 信太郎
藝人春秋Diaryの感想
藝人春秋の最新刊をようやく読了。過去シリーズとは異なり、文春からの出版はかなわず小出版社からの刊行。そして度肝を抜く550ページ超の圧倒的なボリュームは、過去のシリーズ作と比較しても圧倒的な熱量を感じずにはいられない。それにしても、最終章の妻や殿との、まさかというべき邂逅とは、人生というもの、運命というものの意味を深く感じ入るばかりである。政治家はやっぱり似合わない。早く元気になって帰ってきてくれ!水道橋博士!俺はまだまだ藝人春秋という壮大な歴史物語を読みたいんだよ!
読了日:06月13日 著者:水道橋博士
誰かを幸せにするために 大人の流儀8の感想
久しぶりに伊集院さんの大人の流儀シリーズを手にする。出てくるエピソードやストーリーの起承転結も、これだけ読んでいるとすっかりパターン化して感じられることもあるわけだが、たまに読むとこれがまた実に味わい深い。男たるものかくあるべき──昨今のハラスメントやらなんやらで牙の抜けてしまった時代においては、やはり昭和の男の生き方のようなものは、自分にとってはしっくりくる。自分も50代になったわけだし、氏の文章や生き様に対して共感できる部分が多くなってきた気がしてやまない。
読了日:06月14日 著者:伊集院 静
小泉今日子はなぜいつも旬なのか (朝日新書)の感想
久しぶりに本棚から引っ張り出す。唯一無二の存在であるキョンキョン論。ちょうどあまちゃん終了からほどない時期に刊行されたせいか、最終章近くはあまちゃんのエピソードも多数で、フムフムとなった次第。それにしても本書ではキョンキョンが「マウントしない」からこそ、他のアイドルたちとはまったく異なる存在としてステップアップしたと断言しているのだが、その後、世間の声をものともせずに、堂々と新たなる恋&仕事に走ることになろうとは、よもや著者も思ってもみなかっただろう。同じ時代を生きる一人として、共感をもって読める一冊だ
読了日:06月15日 著者:助川幸逸郎
住宅破産 (MdN新書)の感想
35年ローンを組んでいる身としては、いろいろと勉強になることが多かった。自分自身の資産のバランスシートを作り、早急にチェックしなければ・・・。
読了日:06月23日 著者:千日 太郎
私のプロ野球80年史の感想
日本プロ野球の歴史を、ノムさんの半世紀と併せて紹介していくスタイルは、ありそうでなかったんじゃないだろうか。そういう意味では、ノムさん本としては新鮮。特にノムさんの幼少期あたりの話は、こんな時代から野球と接点があったんだ!と驚いた。
読了日:06月23日 著者:野村 克也
漫才論 - 僕が出会った素晴らしき芸人たち - (ヨシモトブックス)の感想
一気読み。昭和のニオイがプンプンする超ベテラン漫才師だけに、漫才への愛はとてつもなく深い。阪神さんとは、真逆の性格で、一緒に行動することもないほど仲が悪かったという話は、いかにも芸人らしいエピソード。テレビではなく、劇場=生にこだわるというところも、昭和っぽくていいなあ。ぜひ生で見て爆笑したいものです。
読了日:06月23日 著者:オール巨人
夢をかなえるゾウ2 文庫版の感想
1を読んでからずいぶん時間が経ったのだが、ようやく2を読んでみた。本書でもガネーシャが大暴れしているわけだが、そこはかとない愛情というか、優しさが満載。お金、幸せってなんだろうということを、少しだけ考えさせられた次第。
読了日:06月23日 著者:水野敬也
世界インフレの謎 (講談社現代新書)の感想
特異なインフレの状況にある日本の状況がよくわかった。読書というより、勉強というほうがふさわしい感じ。集中しないとなかなか頭に入ってこない&理解できない内容。
読了日:06月30日 著者:渡辺 努
フツーのプロレスラーだった僕がKOで大学非常勤講師になるまでの感想
本棚の整理の際に発見し、久しぶりに手にする。ひねくれ者のカシンの半生記は、やっぱりひねくれまくった人生。プロレスラーになる前の青森の光成学院時代の話が、今だったらありえない理不尽満載で、同年代としてはウンウンとうなずいてしまうことばかり。セミリタイア状態の今、カシンよ、どこへ向かう・・・。スニーカーマニア、しかも盗難されてしまったという話に大爆笑。
読了日:06月30日 著者:ケンドー・カシン
堤清二 罪と業 最後の「告白」 (文春文庫 こ 46-1)の感想
西武帝国を気づき、そして憎しみあった清二と義明の堤兄弟。本書では、清二への晩年のインタビューを通して、父や家族の事、そして仕事について振り返っていく。異母兄弟であるがゆえに、激しいライバル心を常に持ち合わせていた二人の生きざまはすさまじい。ただ、セゾンなどを通じて「文化」を作った清二は、ただの商売人ではないんだろう。義明の側から見た作品があれば、ぜひ読んでみたいと思う。巻末の解説は糸井重里氏。感謝にあふれる文章であった。
読了日:07月07日 著者:児玉 博
0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書の感想
落合陽一さんの本を最近読んだこともあって、積ん読から引っ張り出してきた一冊。自身も子育てをしているとのことだが、その落合さんが受けてきた教育環境も含めてなかなか独創的。画一的な教育ではないところから、天才は生まれるのだろう。子供のやりたいようにやらせておく。。。これがなかなかできないんだが、取り組んでいかないといけないことなんだなと、あらためて感じ入った。
読了日:07月11日 著者:落合 陽一
海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)の感想
いざ読み始めた下巻も一気読み。壮大な絵巻物が、ほぼノンフィクションであることに驚きを隠し得ない。日本人としての誇り、男が人生をかけて取り組むべきことは何か、そんなことを強く感じさせてくれる極上エンターテインメント作品。間違いなくマイ本棚の殿堂入り作品。電車の中で読んでいて、あふれる涙をおさえることができませんでした。こんな人物がいたということに、ただただ驚くばかりである。
読了日:07月11日 著者:百田 尚樹
母ちゃんのフラフープの感想
とても良い本だった。ロンブー淳が、母との思い出を軸に半生を振り返る。突然訪れた母への病の宣告。限られた時間の中で、決して弱みを見せずに明るく振舞い続けるお母さまの姿に、読むワタクシの目にも涙が浮かぶばかり。それでも淳氏は、十分すぎるほどにその最後の大切な時間を最高の形で過ごせたのではないだろうか。誰にでも訪れる死、明日生きているかもわからない現実、だからこそ大切な人への感謝の気持ちを忘れてはいけない。ネガティブに取られがちな遺書へのイメージも、本書を読んでがらりと変わった。自分も遺書を書いてみたいと思う。
読了日:07月14日 著者:田村 淳
オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年 (光文社新書)の感想
すっかり強豪球団になった感のあるオリックスだが、実に25年間も優勝から遠ざかっていた万年弱小球団だった。阪急からオリックスへの身売り以降の足取りをしっかりとひも解いていくことで、現在の強さの秘密を探っていく。有名選手もさることながら、裏方にまでキッチリとスポットライトを当て、時代時代を丁寧に検証していくスタイルは、オリックスファンならずとも、非常に面白く読めた。岡田、西村、森脇といった外様監督による回想が実に興味深い。それにしても、自前で選手を育てていく近年の手法は、完全に成功した感がある。
読了日:07月26日 著者:喜瀬雅則
ぼくのボールが君に届けば (講談社文庫)の感想
伊集院さんの短編集。いずれの作品も「野球」がキーワードとなっている。親子、恋人、家族など、人間模様を書かせたら天下一品。そして今回の作品も、登場人物たちの多くが深い慈愛とやさしさにあふれている。本筋に関する“感動”には触れないが、元来の野球ファンとしてジワリとした記述に触れよう。「野球の魅力は、選手も観客もすべてが、たった一球の行方に目を奪われていること」・・・野球というスポーツの魅力に、いま改めて気づいた次第である。
読了日:08月01日 著者:伊集院 静
基本は、真っ直ぐ―― 石川雅規42歳の肖像の感想
球界最年長投手、ヤクルト石川選手のドキュメント。コロナ禍での2年間、丹念に取材を重ねている。もともとは200勝達成時に出版の予定だったというが、この2年間に焦点をあてて、まずはこの形での出版となったようだ。それだけ見るべきところが多いのだろうが、いつも冷静に語り、そして誰に対しても謙虚な姿勢を崩さない石川選手は、人間性の高さを感じずにはいられない。20年も投げ続けるタフネスぶりは、まさに小さな大投手。山本昌さんの例もあるだけに、まだまだ第一線でヤクルトを支え続け、200勝を達成してほしい。
読了日:08月10日 著者:長谷川晶一
静かに、ねぇ、静かにの感想
久しぶりに手にする本谷作品。3篇の短編集。そしてそのすべてがBAD END。エンタメ小説だから、それもまたよしなんだが、どうも暗澹とした気持ちになってしまいがちで、自分とはあまり相性がよくない作家なのかもしれない。
読了日:08月13日 著者:本谷 有希子
虚空の人 清原和博を巡る旅の感想
一気読み。鈴木忠平さん、素晴らしい。プロ野球ノンフィクションライターとして、完全に一線を超えた感がある。「嫌われた男」もよかったが、清原を追ったこの一冊も、最初の清原本以上に読み応えがあった。薬物中毒からの離脱という、とても精神的にもろい時期に取材を重ねることができたのは、やはり清原からの厚い信頼があってのこそだろう。悪しともせず、良しともしない、そのスタンスは「今の清原」をただ伝えていくというノンフィクションの本当の姿なのかもしれないと思った。それにしても「清原を使って金儲け・・・」の言葉はつらい。
読了日:08月14日 著者:鈴木 忠平
ハンパねぇ!高校野球 (小学館よしもと新書 ふ)の感想
夏の甲子園の熱戦が続く。そのタイミングで積ん読本を読み始める。そして一気読み。アメトーーク!の高校野球芸人は過去の神会であったが、その主要人物のひとりであるトータルテンボスの藤田が高校野球を熱く語る。高校野球とは、永遠に終わらない絵巻物。おふざけは一切なし。高校野球に対する藤田の熱い思いと愛が伝わって来た。各都道府県の傾向を解説する章は、実に秀逸。明日からの甲子園の熱闘が、何倍にも面白く見れそうな、そんな高校野球本でした。
読了日:08月16日 著者:藤田 憲右
天才は親が作る (文春文庫)の感想
久々の再読。初読時にはワタクシも子供がいなかったような。松坂に始まって、大谷や里谷多恵、イチロー、杉山愛など、「天才」と呼ばれたスポーツ選手たちの子育てをクローズアップ。丁寧な取材、登場する親たちの協力の下でつづられた非常に貴重な作品である。すべての親たちに共通していることは、子供の主体性を大切にし、また子供に対して時間や努力を惜しまないという点。「親も一緒に楽しませてもらった」という言葉が、非常に含蓄にあふれている。ワタクシの子供も小3。親離れも近づく年代だけに、子供と過ごす時間を大切にしたいと痛感。
読了日:08月31日 著者:吉井 妙子
向田邦子の陽射し (文春文庫)の感想
爆笑問題・太田による、向田邦子評論集。連載という形がとられたようだが、本書ではそれらに加えて、実際に太田が選んだ作品も掲載されているので、向田邦子さんは初という人にもとっつきやすいと思う。それにしても向田さんは、なんと人の機微を描くのが得意な方だったんだろう。ただ、そこに描かれているのはあくまでも「昭和」。昭和だからこそ、50代のワタクシにはとても心地よく刺さってくる気がしないでもないわけだが。向田さんが存命していたら、平成、令和と、どんな作品を作り上げていったんだろうか。
読了日:08月31日 著者:太田 光
七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV (文春文庫)の感想
定期的に読みまくっているIWGPシリーズだが、いくつか飛ばしてコチラを手にする。ネットにSNSと、世相を見事なまでに反映しながら描く池袋青春(?)群像は、時代が流れていっても全く面白さは変わることがない。本作も、いつもどおりグイグイと読み進めることになった。
読了日:08月31日 著者:石田 衣良
ラヴレターズ (文春文庫)の感想
なかなかにユニークなセレクト集。作家ほか著名人に、ラブレターを書いてもらうという趣旨。興味深いのは、ほぼすべての人が、初恋の人なり、過去の自分に立ち返って手紙を書いている点。また、人間ではない相手への手紙も少なくなく、とてもユニークであった。果たして、自分は同様の依頼を受けたのであれば、いったい誰に向けてラブレターをしたためるのだろうか。。。
読了日:09月10日 著者:川上 未映子,村田 沙耶香
告発 誰も晒せなかったSNSのヤバすぎる闇 (書籍)の感想
ダラダラと読了。人気YouTuberが、ネットがらみの犯罪を「告発」。それにしてもネット利用の若年化、そしてそれに伴うネットを起点とする未成年への犯罪も激増しているんだな。誰もが気軽に利用できるツールだからともいえるが、生まれたときからインターネットやスマホがある世代にとって、リアルではない出会いが引き起こす犯罪やトラブルの怖さは、われわれ昭和世代には理解しがたい点もある。子供を持つ身としては、それなりに勉強になった。
読了日:09月15日 著者:コレコレ
絶望スクール 池袋ウエストゲートパークXV (文春文庫 い 47-25)の感想
一気読み。やっぱりIWGPシリーズは面白すぎる!本という極上のエンターテインメントを堪能できたという思いでいっぱいだ。もはや水戸黄門的な完全懲悪のパターンが完全に確立されているわけだが、それでも世相をしっかりと盛り込んできているから、いつ読んでも古さを感じることがない。ああ、もっと読みたい!
読了日:09月15日 著者:石田 衣良
村上T 僕の愛したTシャツたち (Popeye books)の感想
村上春樹氏ならずとも、誰しもついつい溜まっていきがちなTシャツ。何を隠そうワタクシも数百枚を所有するTシャツコレクターだけに、これは楽しみに手に取った一冊。ジャンル別に分けて、それぞれのTシャツを引っ張りだしては、買った場所や時代、そのころの思い出に触れたりして・・・まさにこれこそTシャツ道。マラソン大会ものなどは、そのまま段ボール行きというものもあるなんてあたりは、ワタクシも身に覚えアリ。それにしても、各国の書店が村上氏の作品に絡めて作ったTシャツというのは激レア。この人だからこその貴重な一品だなあ。
読了日:09月30日 著者:村上春樹
amazonが成長し続けるための「破壊的思考」 (扶桑社新書)の感想
amazon japanの創成期から会社の中枢にいた筆者が、amazonという特殊かつ現代を象徴する会社とは、いかなる会社なのかを解説。読み終わるまでに、なかなか時間がかかってしまった。個人的にはAWS関連について、もう少し深く触れてほしかったというか、知りたかったという読後感。
読了日:09月30日 著者:星 健一
SHOE DOG(シュードッグ)の感想
ついに読了。ナイキとその創設者フィル・ナイトの歩んできた半生が、事細かにつづられる。この成功物語は、絶対的な信念を持ち続けてきたからこそのことなのだと、あらためて理解できた。それにしても、この世界的モンスター企業が、黎明期には日本と大いに関わりがあったことは、とても興味深い。日本人としては、ちょっと誇らしい気持ちになったのも事実である。
読了日:10月05日 著者:フィル・ナイト
アントニオ猪木 (新潮新書)の感想
猪木本は多数読んできた自分だが、この猪木本は新書という形態ながらにして、猪木の魅力を存分に引き出しているといえそうだ。というのも、そのほとんどをすでに知っている自分であっても、一気読みで面白く読めてしまったからである。スキャンダラスな部分というよりは、猪木の魅力そのものを引き出すことに注力しているのだろう。やっぱり猪木ってすげえ!とあらためて痛感してしまった。個人的には、イラクでのあれこれ、それに倍賞さんとのあれこれ、あたりのストーリーがツボでした。過去本も引っ張り出してこよう。
読了日:10月05日 著者:瑞 佐富郎
新書833 警察庁長官 (朝日新書)の感想
警察庁長官という職業をわかりやすく解説。警察と警視庁、警視庁長官と警視総監などの違いは、まったくわかっていなかった。よかったのは、歴代の警察庁長官へのインタビュー。あの國松長官を筆頭に、やはり骨太の人物が多い。警察の役割も時代と共に変わってきたが、やはり私たちの生活を守ってくれる心強い存在であることを、あらためて痛感した。
読了日:10月17日 著者:野地秩嘉
憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI (文春文庫)の感想
ギャンブル中毒に合法ドラッグ、ヘイトスピーチに、そしてノマドまで・・・。このシリーズ、そしてマコトたちを取り巻く池袋の様子も、時代とともに確実に移り変わっていく。こちら2ndシリーズの第一弾のようだが、IWGPらしい痛快なストーリー展開は、もちろん健在。完全懲悪の流れは、まさに現代の水戸黄門さながらだが、ファンにはやっぱりたまらない。まだまだ読みたいシリーズである。
読了日:10月21日 著者:石田 衣良
裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII (文春文庫)の感想
最近またまたマイブームで、次から次へと読んでいるIWGPシリーズ。本作のテーマは、虐待、ネット炎上、薬物、霊感商法にヘイトスピーチ。勧善懲悪のマコトやタカシの活躍は、ほぼ毎回お約束のパターンだが、時代時代で社会問題を敏感に取り込んでいくことで、ここまで面白く新鮮に読めるものだなと、あらためて感心するばかり。最近は、結婚なんかのネタが増えてきたのも、シリーズを重ねてきた歴史なんだろう。今回はサルの登場シーンも多く、サルファンとしてはうれしかった。
読了日:10月25日 著者:石田 衣良
うたかたのエッセイ集の感想
水道橋博士のメルマガで連載を持ち始めたころから、その才能にはひそかに注目していた酒井若菜さん。そのメルマガなどでのエッセイが一冊の本にまとめられた。独特の空気感を持つ彼女だが、文章を読むと感受性の強さがとてもにじみ出ている。この本は、間違いなくゴーストライターは使っていないと思うのだが、それもそのはず、圧倒的な読書量を持つ彼女だからこそ、女優としては違う一面を甲も出せるんだろう。
読了日:10月25日 著者:酒井若菜
伝説の経営者100人の世界一短い成功哲学の感想
田原さんがこれまでにインタビューを重ねてきた数々の日本の経営者たちとの会話を振り返り、そのキャッチボールの中から、それぞれのイズムを抽出していくというような内容。これだけ多くの経営者たちに対して、対等なスタイルでぶつかっていったという人は、田原さんをおいてほかにないだろう。鋭く切り込んでいく中で、その相手である経営者たちが返す言葉というのは、やはりどれも説得力があり、決してぶれることのない、経営者たる者らしさを感じる含蓄のあるメッセージが多かった。3ページ構成になっているので読みやすさ抜群。
読了日:10月31日 著者:田原 総一朗
天才論 立川談志の凄み (PHP新書)の感想
立川一門の談慶氏が、主に二つ目に上がるまでの師匠との日々を振り返る。二つ目に上がるまで9年とは、なんとも長すぎる下積み時代であるが、なぜ天才と呼ばれた談志が、弟子に無理難題を与えてきたのか、その深い部分に大いに感銘を受けた。エキセントリックな部分がヒューチャーされがちな談志ではあるが、身近にいた弟子だからこそわかる人間らしい部分も垣間見えて、今まで以上に親近感がわいた。
読了日:11月06日 著者:立川 談慶
1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法 (PHPビジネス新書)の感想
半年ほど前に、保険代理店の友人からNISAや資産運用について散々話を聞かされたのだが、今さらながら本屋でこんな本を見つけ、わかりやすそうだったので手にした次第。老後2000万円時代に、50歳からでもしっかり資産運用をしなければとんでもないことになる。そんな危機感を持ちながら読んだわけだが、2024年からいよいよスタートする新NISAについて、実に理解が進んだ。とにかく少額でも始めてみるだけの価値はありそうだ。
読了日:11月08日 著者:中野 晴啓
さらば愛しき競馬 (小学館新書)の感想
家庭の事情とはいえ、かえすがえすも角居調教師の引退は残念過ぎる。。。前作よりも、競馬ファンの立場に立って役立つ情報やお話多数。面白い。数々の名馬を生み出した名伯楽の話は、競馬ファンにとっては楽しい限り。
読了日:11月13日 著者:角居 勝彦
Sports Graphic Number(ナンバー) 1083号 2023年 11/9 号 [雑誌]の感想
今年も来ました秋競馬特集。名馬のエピソードの思いを馳せながら、当てるぞ!!
読了日:11月13日 著者:
悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味 (講談社+α新書)の感想
ガーシーは結局逮捕されてしまったんだが、この本は出たらすぐ読んでおけばよかった。それくらいに面白い。元・朝日新聞記者が、ドバイにてガーシーに密着レポート。どこまでさらけだしたのかはわからないが、記者に心を許していただろうことは推測できる。ガーシーはともかく、その周辺の人物相関図が、とにもかくにも面白い。まさに現代の梁山泊。犯罪行為はNGだが、失敗をしてもやり直し、そして大成功を収めることができるという実例ではあると思う。それとYouTubeの緻密な戦略は大変参考になった。
読了日:11月24日 著者:伊藤 喜之
猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯の感想
やはり猪木さんは最高だった。猪木の最晩年に、関係者たちが猪木論を語る。佐山、前田、藤波、藤原、蝶野、武藤、藤田、小鹿、北沢、天龍、石井館長、大仁田、サイモン。。。ケンカ別れしようと敵対しようと、そんな小さいことはどうでもいいという猪木の器をあらためて感じるばかり。皆が口をそろえて、猪木への感謝を言葉にするあたりは、昭和プロレスファンとしてはたまらない。不世出のレスラーであった、アントニオ猪木のいた時代を生きてくることができた幸運に私自身もあらためて感謝。
読了日:11月24日 著者:アントニオ猪木,佐山 聡,前田 日明,蝶野 正洋,天龍 源一郎,ほか
働き方 完全無双の感想
ひろゆきが語る現代働き方論。とても鋭い視点で、なるほどとうなずけること多数なのだが、メッセージのターゲットは20代あるいは30代までか。50代となってしまった自分には、もはやドラスティックな割り切りが厳しい。現役世代の終盤を迎えた人間にとっては、現状のシステムの中で、いかにうまくやりぬくかということなのだろう。なんとももどかしさが残った。
読了日:11月28日 著者:ひろゆき
大人のマナー術 (光文社新書 1249)の感想
ひさびさの辛酸さん。noteで連載していたものをまとめたもののようで、テーマは大人のマナー術。そもそもがオタク系?女子の辛酸さんだけに、一般的にはどこまで参考になるのかわからないが、独特の視点は興味深い。おりしもコロナ禍の時期に書かれたもののようで、当時は人と会うことすらはばかられる世の中になっていたこともあって、そのあたりの世相を懐かしみながら読んだ。テレワークにオンライン会議と、時代はその後すっかり変わってしまったのだが、やはりそんな時代だからこそ大切なのはフェイストゥフェイスだと痛感。
読了日:11月30日 著者:辛酸 なめ子
MUSIC 100+20の感想
HFの触れてきたお気に入りの120アルバムを紹介。2ページ1作品という構成なので、酒を飲むときに、だらだらと読み進めた。とても優しさの伝わる文体で、エラソーな感じもなく、ちょこちょことメモりながら、久しぶりに「CD」を買いたくなってきた。
読了日:11月30日 著者:藤原 ヒロシ
野村克也からの手紙 ~野球と人生がわかる二十一通~の感想
ノムさん、最晩年の作品の一つ。先輩、仲間、ライバル、後輩、教え子、そして家族。ノムさんがつづる21通の「手紙」。丸くなったノムさんの姿が垣間見える手紙は、どれも心のこもったものばかりであり、ノムさんファンとしては、とてもたまらない一冊であった。
読了日:11月30日 著者:野村 克也
納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)の感想
長く積ん読状態にあった一冊だが、ようやく手にして読み進める。映画にもなるなど話題になった一冊だけに、なかなかに面白い。前半の1章、2章は、納棺夫という、世の中で必ずなければならない仕事に就きながらも、家族を含む周囲から「なぜそんな仕事を」と蔑まれるようなつらい日々での心の葛藤、そして心の変化が細やかにつづられる。吉村昭氏も無名時代に才能を見出していたというから、日記から拾い出しての構成でありながら、とても面白い。3章は宗教書?哲学書?という内容になり、自分は面白く読めなかったが、ここも評価が高いようだ。
読了日:12月14日 著者:青木 新門
ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男の感想
まさにヤフー(ジャパン)を作った男──森功氏による、その男の評伝。莫大な富を手にしたあと、趣味の世界に没頭。ついにはクラシックカーの世界で、レース中に非業の死を遂げる。幼少期からていねいな取材で、井上氏の死後に周囲を徹底的に取材。団地住まいの普通の少年が、IT長者になりうるまでのストーリーは、この時代のドリームそのもの。本人はもちろんのこと、周囲も「ならずもの」だらけで、実話とは思えないほどの波乱万丈に満ち溢れている。いまやヤフーは日本にあるのみ。一時代を築いた男の人生を堪能させてもらった。
読了日:12月18日 著者:森 功
ひとりで生きる 大人の流儀9の感想
無頼派としてならした伊集院さんも、逝去されてしまった。そんな中で、積ん読本の中から人気シリーズを引っ張り出して手にする。「ひとりで生きる」がテーマだけに、行間を読み込んでいくと、伊集院さんも随分優しくなってしまったということが垣間見える。久しぶりに読んだが、伊集院さんらしい男の背中を感じられ、やはりこんな風にかっこよくなってみたいもんだなと思った。
読了日:12月21日 著者:伊集院 静
読書メーター
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by anken99
| 2024-01-12 14:26
| 読書
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